生活リズムの立て直し

「どうしたらいい?」運動会や遠足シーズン!行事の前後で乱れがちな生活リズムの立て直し方!

運動会や遠足など、秋は子どもたちにとって一大イベントが目白押しです。当日のお子さんの頑張りや成長に、保護者の皆さんも感動されたことと思います。
しかし、イベントの準備や当日の興奮、そして代休などで、わが子の生活リズムがすっかり乱れてしまい、「これからどう立て直したらいいの?」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

今回は、療育現場の視点から、イベント後に乱れたリズムを優しく、スムーズに戻すための3つの立て直しステップと、安心感を育むポジティブな声かけのヒントをお伝えします。

ステップ1:まず知ってほしい!「乱れのサイン」と「理由」
お子さんの生活リズムが乱れると、いくつかサインが出やすくなります。
これらは「疲れが溜まっているよ」という体からの大切なメッセージです。
具体的には、ちょっとしたことで泣く、怒りっぽい、かんしゃくが増えるなど、感情が不安定になることがあります。また、食欲が減る、偏食が強くなる、便秘になるなど、食欲や排泄に変化が見られることもあります。さらに、寝つきが悪くなる、夜中に何度も起きる、朝なかなか起きられないといった睡眠への影響も現れがちです。

なぜこのような乱れが起こるのでしょうか? 発達に特性があるお子さんにとって、イベントは「いつもと違うこと」の連続であり、強い緊張や刺激で脳も体もフル回転しています。
その疲れは少し遅れて出てくることが多く、「やっと終わった」と気が緩んだときに不安定さとして表れてしまうのです。
まずは「これはお子さんが頑張った証拠」と理解し、焦らずに立て直しに取り組みましょう。

ステップ2:焦らない!「微調整」でリズムを取り戻す3つの方法
いきなり元の生活リズムに戻そうとすると、お子さんはかえって反発したり、ストレスを感じたりします。「少しずつ、優しく」微調整していくのが成功の秘訣です。

1.「戻しすぎない」睡眠時間の微調整
もし寝る時間が遅くなっていたとしても、一気に元に戻すのは困難です。元の時間に寝かせようとするのではなく、まずは「寝る前のルーティン」をいつもより15分だけ前倒しして始めることから試しましょう。そのリズムを数日続け、慣れたらまた15分前倒しと、スモールステップで優しく調整していくのがポイントです。

2.朝の光と「冷たい刺激」で体内時計をリセット
体内時計をリセットする一番の方法は「朝の光」です。朝起きたらすぐにカーテンを開け、お子さんがたっぷり光を浴びるようにしましょう。また、洗顔のときなどに顔や首元に冷たい水を当てるのも効果的です。
心地よい刺激がスムーズな覚醒を促し、体が起きるのを助けてくれます。

3.おうちで「ゆったり時間」を意識的に作る
イベントの後は、意識的に「何もしない時間」や「受動的な活動」を取り入れることが重要です。
塗り絵や粘土遊び、パズルなど、静かに集中できる穏やかな活動を選びましょう。
また、保護者の方が絵本を読んであげる、マッサージをしてあげるなど、お子さんが受け身になれる「受け身の活動」の時間を作るのも良いでしょう。お子さんが「頑張らなくていい」と感じられる時間を持つことで、溜まった疲れや緊張が少しずつ解消されます。

ステップ3:気持ちを安定させる「ポジティブな声かけ」
生活リズムの立て直しは、お子さんにとってストレスがかかる作業です。
イライラしているときこそ、親御さんからの肯定的で具体的な声かけが、安心感と自己肯定感を育みます。
例えば、「早くしなさい!」と急かすのではなく、「お着替えの前に、お顔が洗えたね」というように、「できた行動」を具体的に褒め、次の行動への見通しを持たせましょう。
また、「どうして起きられないの?」と問うのではなく、「カーテンを開けるよ。
光を浴びて、体が起きてきたね」と、怒りではなく体の変化に注目し、共感を示してあげてください。
さらに、遊びの終わりには、「もうおしまい!」と突然やめさせるのではなく、「あと〇回、おもちゃで遊んだらおしまい」のように終わりを予告し、タイマーなどの視覚的なツールを頼りにすることで、気持ちの切り替えがしやすくなります。

さいごに
保護者の皆さんへ。お子さんのリズムが乱れると、親御さんもイライラしたり、疲れたりするのは当然です。どうぞ「完璧に元に戻さなくて大丈夫」と思ってください。大切なのは、「ちょっと頑張りすぎたから、今は休もうね」というゆったりとした姿勢です。無理せず、まずは週末の朝食の時間から整えてみるなど、できるところから試していただければ幸いです。私たち療育スタッフも、お子さんが新しいリズムにスムーズに戻れるようサポートしていきます。ご心配なことがあれば、いつでもご相談くださいね。