子供に何かを頑張らせるために、ご褒美を与えるという方法を取る親御さんは多いでしょう。しかし、ご褒美を与えすぎると、実は子供のやる気を損なう可能性があることをご存知でしょうか?特に発達障害の子供に対しては、この問題が顕著に現れることが多いのです。
ご褒美の限界:外的動機付けと内的動機付け
まず理解しておきたいのは、動機付けには「外的動機付け」と「内的動機付け」の2種類があるということです。外的動機付けは、ご褒美や称賛、罰などの外部からの刺激によって引き起こされます。一方、内的動機付けは、自分の興味や好奇心、楽しみから自然に湧き上がる動機です。
発達障害の子供にとっての内的動機付けの重要性
発達障害の子供たちは、内的動機付けが特に重要です。彼らは、自分の興味や楽しみから来る動機によって行動する方が、長期的に安定して取り組むことができます。外的報酬に頼りすぎると、その報酬がなくなったときに行動が続かない、という問題が生じやすいのです。
外的報酬の理解や価値観の違い
発達障害の子供たちは、外的報酬の意味や価値を理解するのが難しいことがあります。例えば、「将来のために頑張ろう」というような抽象的なご褒美は、目の前の活動そのものの価値を見出しにくいことがあります。即時の結果を求めがちな傾向が強いため、ご褒美の効果が限定的になるのです。
長期的な効果の欠如
外的報酬に依存した動機付けは、短期的には効果があるかもしれませんが、長期的には効果が薄れることが多いです。ご褒美がなくなると、行動が持続しにくくなります。発達障害の子供たちにとって、内的動機付けによる行動の方が、長期的に見て持続しやすく、安定的です。
感覚過敏や刺激の違い
発達障害の子供たちは感覚過敏や刺激に対する反応が一般の人と異なる場合があります。このため、一般的に好まれるご褒美が必ずしも快適や魅力的と感じられるとは限りません。例えば、褒め言葉や触れ合いが不快に感じられることもあります。
自己決定理論から見る外的動機付けの限界
自己決定理論(Self-Determination Theory, SDT)によれば、人間の動機付けには「自律性」「有能感」「関係性」の3つの基本的欲求があります。これらが満たされることで内的動機付けが高まりますが、外的報酬はしばしばこれらの欲求を満たすことができず、逆に自律性を損なうことさえあります。
習慣形成の困難さ
発達障害の子供たちは、新しい習慣を形成するのが難しい場合があります。外的報酬を受け取るための行動変容が習慣化しにくく、報酬がないとすぐに元に戻ってしまうことがあります。
結論:内的動機付けを大切に
ご褒美による外的動機付けは、一時的には有効かもしれませんが、長期的なやる気を引き出すためには内的動機付けが不可欠です。発達障害の子供たちにとって、自分の興味や好奇心から来るやる気を育むことが重要です。彼らの興味を引き出し、自分で達成感を感じられるようなサポートを心掛けましょう。
これからも、子供たちの成長を支えるために、内的動機付けを大切にする方法を探り続けていきたいですね。